用途変更とデューデリジェンス

COLUMN

唐突ですが皆さん、「デューデリジェンス」という言葉を聞いたことはありますか?

用途変更をする場合に限らず、増築や改築、不動産の売買などに関係してくるものです。

「デューデリジェンス」とはアメリカなどの英語圏からの言葉で、直訳するとデュー(due)が「適切」や「適格」、デリジェンス(diligence)が「努力」や「注意義務」といった意味になります。つまり「適切な努力」といった感じでしょうか?

建築や不動産と関係性が無いような言葉の意味になってしまいそうですよね。

でもこのデューデリジェンスという用語は、様々な業界に通用し、そしてとても大切なものになります。

建築物を用途変更する場合、その建築物の所有権が移行することが多くあります。

不動産の売買は、衣服や食品の売買と異なり、商品の価値や現状が判りづらいです。

売主も購入者もお互い認識の相違がないように、しっかり建築物の現状を把握する必要があります。

そこで基本的には買主の負担で、建物を調査します。

建築設備の機能、その設備がどの程度劣化しているのか、建築物を使用していての健康被害(シックハウスや土壌汚染など)は起きていないかなどを細かく把握するように努めます。

また、その建築物の影響で、周辺地域(特に共同住宅や住宅街の飲食店など)に悪い影響や、

そもそも信用問題になっていないかなど、地域性についても調べます。

そしてその詳細な調査の結果、用途変更を予定している、つまり売買を進めている建築物で、

買主の希望や要望に沿わない場合は、売買契約を打ち切り、交渉中断手続きを行うことや、

売主に対して買主の希望に沿うような是正措置や、営繕業務(リフォーム)を要望することもできます。

後々のトラブルを少しでも少なくする為、建築物の現状を把握することを「デューデリジェンス」と言うのです。

では、もう少し細かく建築におけるデューデリジェンスについて説明しましょう。

どういった項目を調査するかというと、

・建築基準法に適しているのか?

(法律に基づく申請をしているのか、また集団規定・単体規定などの適合)

・地域の条例チェック

(各都市で定められている決まり事項に適しているのか)

・消防法の再確認

(防火対象物、防火設備の適合、避難経路の確認等)

その他、大規模な建築物や、大幅な設計変更を伴う用途変更になると構造の再確認が必要になります。

いかがでしたでしょうか?

建築におけるデューデリジェンスは、なかなか専門家でなければ判断がつかず、調査も難しいです。確認済証や検査済証があるのか、また建築の用途変更でも大きな問題となる項目もあります。

最近では、デューデリジェンスを専門業務としている確認審査機関などもあります。

不動産売買では特に、売主・買主の双方にとってとても大切な調査となります。

しっかり調査して、その報告書をもとに建築物の取引を行うことが大切です。

ぜひ上手に活用して、用途変更で後々問題が起こらないようにすることをお勧めします。