建築物の用途とは?用途変更と類似の用途
COLUMN
① 建物の用途とは?
建築物を新しく建てようとする場合、また新しく事業を展開するために既存の建物を改築する場合、実は建物の「用途」という言葉が必ずついてきます。
日本全国どこでも好き放題、色々な建築物を建ててもらっては生活も不自由になりますし、街の景観も思わしくありません。
静かな住宅街にパチンコ店があっては、少し迷惑に思いますよね。
駅前でもなんでもなく昔ながらの街並みの中に、高層マンションや大型ショッピングモールや、24時間で稼働する工場があっては、不特定多数の人が出入りする地域に様変わりしてしまい、治安も心配ですよね。
そうしたトラブルや生活の質を守るために、建築物は用途により区分されています。
例えば、分譲マンションや高層タワーマンションは「共同住宅」と区分され、同じように人が多く住む建築物ではありますが、共同廊下や階段がなく、同じ建物がたくさん並んでいる建物を「長屋」と言います。
また、一戸建の1軒家を「1戸建ての住宅」という区分になります。
新しく建物を建てる場合は、確認申請や地域の条例をしっかり理解して計画をたてますので、用途による問題は少ないと思います。ハウスメーカーの分譲地や、高層マンションの計画、ショッピングモールや小さいカラオケなど、建物の大小に関わらず専門家や行政が審査するためです。
② 用途変更には調査が必要
既存の建物を使って、新事業を始めるために「用途変更」、つまり建物を使用する用途を変更する場合にはしっかり調べないと後々トラブルになります。
簡単に想像がつくと思いますが、静かな住宅街だと思い住んでいた一戸建てが並ぶ分譲地に住んでいたとします。急にお隣の方が、既存の建物のまま、下宿やシェアハウスの事業を始めてはどう思われますか?
もちろん一概にNGとは言えません。地域的に大丈夫な場所もありますが、やはり一気に地域住民の雰囲気も変わりますし、ごみ問題や治安も心配です。
一戸建ての用途変更に限らず、都市部のビルを用途変更する場合もしっかり調べなければなりません。例えば映画館と、病院では建築物に必要な機能、設備、避難方法も違いますよね。
体育館をクラブやパーティー会場に変更するのも、やはり必要な考慮すべきポイントが多数ありますよね。
③ 類似の用途は用途変更が不要?
用途変更の申請も必ずしなければならない・・・ということもありません。
実は例外があります。いわゆる「類似な用途」に当てはまる用途の変更です。
簡単に言うと変更前も変更後も、あまり建物の使い方に変更がなく、必要な設備も整っている場合です。
具体的には建築基準法第137条に記載されています。
類似の用途は以下の通りです。
・劇場や映画館、演芸場など(客席や舞台がある建物)
・集会場や公会堂(人は1カ所に集まる部屋を有する建物)
・ホテル、旅館(宿泊施設)
・映画スタジオ、テレビスタジオ
・図書館や美術館、博物館など
そのほかにも料理店などの飲食店関係の類似や、体育館、バッティングセンターなどのスポーツ施設もあります。
類似用途に該当すると確認申請も不必要になります。
いかがでしたでしょうか?
建物の用途と類似用途について簡単に述べてみましたが、用途変更になるポイントは「特殊建築物」かどうかということです。
今まで述べた共同住宅、飲食店、カラオケ、ホテルなどは、一般の一戸建て住宅と異なり、特殊建築物ならではの設備や避難方法の検証、法律などに適合する必要があります。
用途を変更する場合も、もちろん適合しなければ安全に建物を使用することができません。
そういった観点から「用途」について考えることも大事だということです。