用途変更では「検査済証」が重要
COLUMN
近年の既存建築物ストック事業推進で用途変更の申請数も増えており、それに伴いトラブルも多くなっております。
数ある問題の中で、一番多いと言っても過言ではない、それが「検査済証」関連です。
検査済証とは、建物工事が完了した後、通常は速やかに受けなければならない完了検査を受けた証なのです。確認申請時に沿った設計図書や申請書類通りの建築物が建てられているのか、問題なければ晴れて「検査済証」が発行されます。
建築基準法にも完了検査は受けなさいと記載されている為、通常は検査済証があることが当然だと思うのですが・・・・。
実は完了検査を受けずに検査済証を発行してもらっていない場合も多いのです。
これは完了検査にも費用がかかることや、建築途中で設計変更が起きて検査が通らない等、様々な理由があります。
そこで問題になってくるのが、用途変更時の「検査済証」の有無です。
もちろん手元に検査済証があって、きちんと管理されている場合は問題ありません。
用途変更はもちろんですが、増築や売買時もスムーズに進めることができるでしょう。
検査済証がない場合
まずは、検査済証を手に入れる必要があります。
建築当時、完了検査を受けて検査済証も発行されたが、なんらかの理由で紛失して手元にない場合は「再発行」というかたちで取得可能です。
これは比較的簡単な申請で手数料も安価な為、専門家に依頼すれば特に躓くことありません。
では、建築当時、完了検査を受けずに検査済証の発行履歴がない場合はどうでしょうか?
もちろんこの場合は再発行できません。しかし、検査済証がないと色々トラブルになります。
そこで、検査済証を受けていない建築物に対しての救済処置、いわゆるガイドラインが定められています。
これは完了検査を受けていない建築物を、建築基準法に適合しているのか調査し報告書を提出するという流れです。
報告書があれば、建築物の現状の設備や避難経路、防災計画、耐震性なども把握することができます。
ただ報告書は検査済証ではないので、取り扱いに注意する必要があります。
ですが、用途変更時には有効に働きます。
用途変更は現状の建物使用方法を、なにかしら変更する場合に申請や完了検査の届け出が必要になる手続きです。
現在の建築物のカルテと言いますか、詳しいことを把握していないと変更する点も判断がつきにくいのです。
ですので、検査済証が無いからといって諦めず、清く正しく手続きを進めましょう。
いかがでしたでしょうか?
今回は用途変更における検査済証の有無によっての違いについて簡単に述べました。
有るに越したことはない検査済証ですが、特に古い建築物には無い方が多いかもしれません。そのような場合でも、調査報告書を作成して、しっかり手続きを踏んで用途変更を行いましょう。